YURI /ゆり
事務作業を全部仕組みにしたら、思考に余白ができた話。
2026年04月12日
要約を生成中...
デザインの学習、実案件、生活と、自分のAIマネジメントシステム
前回、NEXUSという自分用のAIマネジメントシステムを構築した話を書きました。
今回は、その中身に何を入れるかを試行錯誤した内容の記事です。
正直に言うと、まだ発展途上です。
私、論理的に考えることと整理整頓がとても好きな性分で、
友人からは「こんゆり」と呼ばれるほどです。(笑)
そんな自分が、AIマネジメントシステムというものと、驚くほど楽しいと感じる今日この頃です。
しかし、私はエンジニアでも、プログラマーでもなく、フリーランスのデザイナーとして、日々、学び(インプット)と、挑戦・実行(アウトプット)の繰り返しです。
この仕事で出会うクライアントさんたちは、現在も、そしてこれからも、大企業ではないと思います。
事業をこれから始める方、始めたばかりの方。
事業への想いと知識はあるけれど、デザイン制作は専門ではないし、そこに割ける時間もありません。
従業員もまだいません。
そういう方たちと、ブランドの土台や制作物を一緒に作っていく。その時間がとても心地よく、ありがたいことに出会いもあります。
そして私は、家族がいて、犬がいて、料理も好きで、掃除も好きです。運動も睡眠も、好きな欲張りな性分でもあります。
デザインの学習、実案件、生活。
どれも手放したくない。
でもこの3つを同時に回すには、どこかに時間を作るしかありません。
そしてそれは、「クリエイティブなデザインに必ず付いてくる繰り返し作業」でした。
つまり事務作業です。
問い合わせを受ける → ヒアリング
見積書を作る
クライアント情報を整理する
ブランドや事業の背景を探す、読む、書き出す
スケジュールを組む
請求書を発行する
案件の進捗を管理する
ファイルとフォルダを整理する
デザインそのものではありません。でもデザインの仕事には必ず付いてきます。
画面オープンタブが何個にもなり、画面から画面への移動、資料から違う資料へのコピペの連続。
これを手作業でやっていると、1案件あたり数時間が消えていきます。
この時間を、学習と制作に戻したい。それが出発点でした。
事務作業を1本の線にする
やりたいことの全体像
まず書き出したのは、やりたいこと全体の地図でした。
問い合わせから納品まで、クリエイティブな判断以外の工程を全部並べてみました。

この地図の中で、クリエイティブな判断が必要な部分(情報の解釈・設計・制作)だけ自分の手に残して、それ以外は仕組みに置き換える。これが今回の方針でした。
仕組みは大きく2種類に分けて作りました。
① 自動で動くもの:クライアントが何かを送信したら、その回答が着火剤になって、Google Apps Scriptが連鎖的に処理を走らせる
② 自分から動かすもの:見積書発行や請求書発行など、私のタイミングでClaude Codeに頼んで一発処理する
順番に書いていきます。
自動で動く仕組み(3つ)
① ヒアリングフォーム回答 → 案件の器が立ち上がる
クライアントがヒアリングフォームを送信した瞬間、GASが動き始めます。
案件番号を採番(001、002、003...)
クライアント管理シートに新規行を追加(23列ぶんの情報を自動入力)
Google Drive にクライアント名のフォルダを作成
そのフォルダの中に「Invoice/」「Quote/」のサブフォルダも同時に切られる
問い合わせが来た時点で、案件の器(データ行・親フォルダ・サブフォルダ)が全部立ち上がっています。最初の手作業がゼロになりました。
② ブランドシート回答 → 管理シートに自動同期
ブランドシートは合意後にクライアントへ送るアンケートです。
回答が送信されると、また別のGASが動きます。
メールアドレスでクライアント管理シートの該当行を検索
ブランドシート回答へのリンクをその行に自動追加
これで、管理シートを開けば、その案件のヒアリング回答もブランドシート回答も1クリックで開けるようになります。
③ 満足度サーベイ回答 → 管理シートに自動同期
納品後に送る満足度サーベイも、回答が送信された瞬間に同じ動きが起きます。
メールアドレスで該当行を検索
サーベイ回答リンクをその行に自動追加
ヒアリング・ブランドシート・サーベイ。3つの全く別のフォームが、同じ管理シートの同じ行に集まってきます。
これで案件の全履歴が1行で見渡せます。
自分から動かす仕組み(2つ)
④ 見積書・請求書・スケジュールを Claude Code で発行
3種類ともHTMLテンプレートを1枚ずつ作りました。
Claude Codeに「この案件の見積書を作って」と頼むと、管理シートから情報を読み取り、テンプレートを埋めてPDFを生成してくれます。
発行時には案件の統一番号(YYMM-001 形式)を発番して、見積書・請求書・スケジュール・納品物すべてに付けます。
1つの番号で、案件の全履歴をたどれるようにしました。
生成された PDF は、自動で Quote/ または Invoice/ フォルダに保存されます。
私は「作って」と言うだけです。
⑤ メール送付の3テンプレート
3つの場面でクライアントにメールを送ります。
見積書送付メール
キックオフメール(合意後の一括送付)
請求書送付メール(満足度サーベイのリンクも同梱)
3つともテンプレート化しました。プレースホルダー(クライアント名・各種リンク)を差し込むだけで完成します。
特にキックオフメールは、合意後にすべてを一気に渡せる設計にしました。
ブランドシート、プロジェクトスケジュール、Drive共有フォルダ、MTG予約リンク。
4つの情報を1通のメールにまとめて送ります。
クライアントには「ここから始まる」が一目でわかるようにしたかったからです。
なぜ Claude Code だったか
答えはシンプルです。
前回の投稿にも書きましたが、メンターのもちさんが使っているからです。(笑)
え、そんな理由で?と思われるかもしれませんが、とりあえず教えられたことを、そのまま真似してやってみて、その後徐々に自分仕様にしていくだけです。
NOTのスクールの中でも、みんなで一緒に学んでいると、それをやってみよう!使ってみよう!という
そんな良き環境です。
そして、正直「このAI の波に乗るぞ!」と意気込んでいるというより、むしろ逆です。
AIに任せきりにしないために、AIをどこに置くかを決めたいという気持ちが強いです。
どこに置くかを決めるには、何を守りたいかを先にはっきりさせる必要がありました。
任せる場所は「繰り返しの事務作業」。
それ以外——人と向き合う時間、感性を使う時間、気持ちを込める言葉——は仕組みの外に置きました。
AIを使うのは、AIに任せきりにしないためです。
目標じゃなく、仕組みに集中する
場所を決めて、仕組みで固める。この考え方は、愛読書『Atomic Habits』の一節と重なります。
目標は達成したい結果であり、仕組みはその結果へと導くプロセスである。
今回私がやったのは、目標を立てることではなく、仕組みを組み替えることでした。
「もっと案件をこなす」「もっと学習時間を増やす」と目標を掲げても、事務作業に時間を取られる構造そのものが変わらない限り、結果は戻ってこない気がしました。
だから構造の方を変えました。
仕組みを組んだ直後から立ち上がってきたのは、副産物のほうでした。
思考に余白ができる。気持ちに余裕ができる。
測れる結果は「節約された時間」ですが、本体はこの余白のほうです。
これは私にとってセルフケアです。
見た目や雰囲気は世間一般のセルフケアとは違うけれど、もたらすものは同じです。
しかも、仕組みの中にあるぶん再現性が高いです。
AIに任せなかった場所
ここまで、仕組みに任せた場所を書いてきました。
ここからは、任せなかった場所の話です。
設計フェーズと制作フェーズです。
情報を覚えること、処理を速くすることはAIの方が得意だと思います。
リサーチで大量の情報を集めてもらったり、要約してもらうこともあります。
設計フェーズでも、AIのサポートのおかげで、良いものが早く形になっていきます。
でも、ある意味ここは「鉛筆と紙のフェーズ」でもあります。
紙の上で線を引いたり、言葉を一つひとつ選んだり、小さな違和感を拾ったりする時間。
私はこの経験をまだもっと増やしたい。
発展の余地がありますし、ここが一番面白い場所でもあるからです。
アナログとデジタル、右脳と左脳。
この行ったり来たりが、とても楽しいです。
任せなかった場所で、私が大事にしている3つのことがあります。
1. 判断は私がやる
情報収集や要約はAIに任せます。
リサーチは大量の情報源に当たって、構造化された素材を返してくれます。
それをやってもらえるおかげで、私は「何が本質か」を考える時間に集中できます。
集まった素材の中から、どれを採用するか、どこに違和感があるか、何が一番大事かを決めるのは私です。
判断の部分だけは譲りません。
2. 判断の物差しを先に作る
デザインを始める前に、ペルソナプロフィールとデザインコンセプトシートを作ってクライアントに納品します。
特にコンセプトシートは、カラー・フォント・レイアウトなど、後の全デザイン判断の基準になります。
デザインが決まる前に「判断の物差し」をクライアントと先に合意しておきます。
こうしておくと、後の制作で「なんか違う」が起きにくくなる気がします。
3. 言葉はクライアントと一緒に作る
コンセプトを決める過程で、キーワードワークをします。
具象キーワード(伝えたい内容)と抽象キーワード(与えたい印象)を出し合います。
これは、私とAIでするものではなく、クライアントと一緒に出し合う共同作業にしています。
そうすると、言葉に当事者意識が生まれて、後の提案で「なんか違う」が起きにくくなるように感じます。
判断、物差し、言葉。
この3つの周りを、事務作業の仕組みでぐるりと囲む形にしました。
仕組み化は、自分の余白を作るため
正直に言うと、まだ作っている途中のものは多いですが、それはそれで楽しい作業です。
そして、仕組み化は効率化のためじゃなくて、自分の余白を作るためにやっているのかもしれません。
私はもともと、論理的に組み立てるとか、細かく整理整頓する性分を長年、完璧主義やドライさだと感じてきたけれど、
今AIの進化によって、そんな私を私らしく生かしてくれているように感じたりもします。


